たまに夜中にYou Tubeを延々見続けることがある。今日は在日ファンクから始まって、サケロック、大人計画社歌につづいた。くだらなくて面白いのだけど、何か足りない感じがして、次の動画を探してしまう。
最後はラーメンズに行き着いた。何度も見ている気に入ったコントではなく、あまり記憶に残っていないものを探す。「アトムより」。これが「ATOM」という公演の最後のコントだということは覚えていたが、内容はほとんど忘れていた。ラーメンズが公演の最後に持ってくるコントは、笑わせた後に、余韻を残すものが多い。何度も見たくなるのはこのタイプのネタなのだが、「アトムより」に関しては、繰り返し見ていない。見始めると、内容を徐々に思い出したが、やはりつかみどころがない印象を受ける。
窓からグラウンドが見える部屋の中、2人の男が話している。帽子をかぶった男(片桐仁)は語尾にノス・わいね、などをつけることや、大マンモス展を大きなマンモスの展覧会だと言い張り、言動に子供っぽさが残るといったおかしさはあるものの、会話はよどみなく続いていく。全く会話が成り立たないような登場人物が出てくるコントとは明らかに違う。もう一人の男、トガシ(小林賢太郎)は、帽子の男の発言をただしつつ、すこし醒めたような態度で会話をつづける。
中盤、会話の内容から彼が映画監督をしていることがわかるのだが、彼の作品の大ファンだという帽子の男は、そのトガシの作品世界を「日常の中の非日常ではなく、非日常の中の日常を描く、一見すると異様な世界観だけど、その世界の住人たちにとっては、いつもの出来事って感じがするノス。それが心地よいノスノス」と解説する。彼らのコントを一度でも見たことがあれば自明であるが、これはまさにラーメンズの世界観である。「アトムより」もこれに当てはめてよいだろう。しかし、ここではそれだけで終わらない。終盤の仕掛けで、実はトガシが独りきりだった、という事実が明らかになる(詳細はネタを見ればわかります)。ここにきて、つかみどころのないように見えたこのコントが腑に落ちた。自分に甘えてきつつ、自分の作品世界を理解してくれる、そんな友人は彼には存在しなかった。全編に漂う、可笑しさの隙間の寂しさは、その事実から来ていたのだった。
以前はわからなかったが、今はわかる。これから僕は、このコントも繰り返し見ることになると思う。
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